のんびりキャリア

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(書評) 学者のウソ

(出版) ソフトバンク新書

(著者) 掛谷英紀

 

論理的かつ怜悧な分析をする良書。おすすめです。

いわゆる「リベラル」の感情的な主張に対する公平な突っ込みをされており、こういう方が日本の学界をリードすべき。現実はこのような方は少数派でしょう!

 

日本のフェミニズムに対する以下の下りが印象的。

 

---Quote from page70---

このような組織的な学問の捻じ曲げを象徴するものとして、厚生労働省の第5回女性の活躍推進協議会議事録中の次のやりとりがある。

 

(座長) これをいったら不謹慎と叱られるかもしれないが、女性活躍の企業ランキングというのは面白いな。(中略)少し業績のいい大企業の2,3の様子を見てから、この辺は上位にきそうだという確信をもってドーンとやるようにすべきか(中略)。

 

(委員) おっしゃるとおり、その危険性(私の補足=業界や企業規模によって結果が変わること)はあります。だから、市場テストをしたほうがいいと思います。

 

(座長) もし、無関係と出ただけでも「何、このテーマは」となりかねないですから。

 

(委員) まずデータを取ってみて、相関関係がうまくある程度でたら、そのまま出し、アットランダムだったら業績とは関係ないかもしれないれども、長期的にみて、国際的に見て、女性の管理者の登用が遅れているから、上げなければいけないというのを別な言い方でもって、持っていくという手もありますから、まずはやってみることです。

 

このやりとりで、委員たちは、自ら都合のいい統計データのみを恣意的に取り出そうという意図を開陳している。データ捏造そのものも当然悪いことであるが、それを悪いこととも思わず、それが議事録として公開されていても平然としていること、そしてそれが社会的批判の対象にならないことは驚愕に値しよう

 

---- unquote----

 

私の感想は2点。

 

  • 税金を使って「検討ごっこ」をするに加えて、「恣意的データを集める」ことの「口裏あわせ」をしているのか。閉口する。
  • 厚生労働省のweb(下記リンク)をみると、ちょうどこの「第5回」から議事録が公開されていない。他の会合は昔からの議事録が公開されているのに、なぜか? 委員が「これはやばい」と進言したのか。それも「第5回だけ削除」は怪しまれると思ったのか、「第6回以降のみ公開」と悪知恵を働かせた模様。それも、第7回以降はそのような疑念を持たれないようにするためか、「すべて第1回」と「連番にしない」という狡猾さ

 

https://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html